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パーキンソン病の障害について

Q1.パーキンソンの4大症状には何があるか(運動面の諸症状から診断) Edit

①振戦(安静時振戦,一定の姿勢でも現れる)-手指・上肢全体・同側下肢・顔面・・
反対側(全身性の振戦)。現れない場合もある、 3人に一人は振るえが無い。他人と会う緊張場面    などで著明。閉じ込もる生活に追いやる。・・・

②筋固縮(筋肉の硬直)-筋肉の緊張が進む。関節を他動的に動かすと,鉛の管を曲・
げるような抵抗や、歯車のようにガクガクと断続的になる。関節を曲げる筋肉により強くで   る・前屈みの姿勢となる。関節を伸ばそうとしても抵抗が強く,動きが制限される。患者は  気   づいていないことが多い。

③無動(動作緩慢)-動作の開始や停止がゆっくりとしかできない。動作そのものが・
ゆっくりとしている、動き出すまでに時間がかかる。

④姿勢保持の障害…姿勢を保つことの障害。「転びやすい」とか、「歩き出すと小股で小   走りになってしまう(突進)、物につかまらないと止まれない」などは、姿勢保持の障害の現  れと考えられる。


Q2.パーキンソン病とは? Edit

「パーキンソン病は体のどこがどうなっているのか?」

① なぜパーキンソン病が起きるか」はまだ解明されていない(原因不明の難病)

② メカニズムは大分わかってきた。脳の黒質という部分の異常が原因。黒質は中脳に左右二つあり両方合せてもたかだか1グラム程度。この1グラムの部分の異常からパーキンソン病の色々な症状が出る。
③ 黒質は意識して手足を動かすような随意運動を滑らかに行うための油のような役割を果たすドーパミンという物質を分泌している。原因は不明だが黒質の神経細胞が若いうちから減少するのでドーパミンも減少してくる。

「パーキンソン病は一般的にはどの程度の症状になるのか?」 Edit

① 「ヤールの重症度分類」で症状の程度をあらわせるが、順天堂の外来にきている患者の平均重症度(薬が効いている場合)は、10年以上治療を続けておられる 人も含めてⅡ度とⅢ度の間であり、入院が必要な人でもⅢからⅣ度台が大半。治療をきちんと行えば発症から10年たっても約4分の3はⅢ度またはそれより軽 く、自力での生活が可能。その中の半数は仕事も続けられるⅠ度からⅡ度の方です。

ヤールの重症度分類 Edit

Ⅰ度:症状が片方の手足に限られている。
Ⅱ度:多少症状は進み、両方に出ているが、歩くのは大体一人で大丈夫で、会社にも行けるし、それまでの日常生活もだいたい続けていける。
Ⅲ度:小刻みな歩行や、動作がゆっくり、などの特徴的な症状が出てきて、それまでの仕事を続けるには、かなりの努力が必要になるが、日常生活は人の助けを借りないでも十分できる。
Ⅳ度:どうにか歩けるが、転びやすく自分で姿勢をたて直すのが難しい。
Ⅴ度:一人で歩けず車椅子が必要になる。

Q3.パーキンソニズムは、パーキンソン病とは違うのか? Edit

パーキンソン病に見られるような、振るえ、固縮、無動、小刻み歩行などの症状を総称して、パーキソニズムという。パーキソニズムは症状を表す言葉 で、疾患名ではない。パーキンソン病(本態性パーキンソン病)では、黒質の異常が原因で症状が現れている。これに対して、パーキソニズムが現れる病気 の中で、パーキンソン病以外のもの、つまり、黒質の変性以外の原因によるものを総称して、パーキンソン症候群という。
・ 血管障害性パーキンソニズム:線状体や大脳白質の細い血管が詰まってたくさんの小さな梗塞がおきてパーキンソン病に似た症状を呈するもの。手の運動は比較的良くできるが、足が前に出ないという特徴 Lドーパはあまり効かない。CT堕診断の決め手。
・ 薬剤性パーキンソニズム:薬剤の中で、ドーパミンが作用するとドーパミン受容体に結合してドーパミンの作用を遮断する薬物が原因となる。胃腸薬や脳血管拡張剤の中にもこのようなものがあるので、服用中の薬は主治医に伝える

Q4.パーキンソンはどのように誤解されやすいのか? Edit


・ 「やる気がなく,依存心が強い」
・ 「職員の見ていない時には自分で枕元の物を取るくせに,職員がいると取ってくれと甘える」
・ 「午前中は自分で動いたくせに,午後からは殆ど動こうとしない,怠け者だ。」
・ 「階段を上り降りできるくせに,寝返りや起き上がりをしようとしない。」
・ 「歩行が困難になったために,車椅子を漕いでもらうつもりだが,殆ど進まない内に介助を求める」
・ 「ネクラである」
・ 「さっさと動けばいいのに,何時までもじっとしている,やる気があるのかないのか」

パーキンソンの老人は,よくこのように周囲の者に考えられてしまう。それは,多くの場合,パーキンソンという障害を知らない誤解である。誤解がパーキンソンの障害を益々大きくし,孤独や孤立に追い込む危険性がある。

Q5.誤解されやすいパーキンソンの障害 Edit

 

 1) 機能障害の特殊性・ Edit

・ 階段は上れるが,寝返りができない-体の捻じれを要する動作は初期から困難。
・ 歩くことはできても,向きを変えることは困難。階段や凸凹道はスタスタ歩き,敷居も上手く
越えられるのに,何の障害もない平坦面を歩けない。
・ 歩くときにすぐに援助を求めるくせに,平行棒の中ではスタスタ歩く。
・ ベッドの端に腰掛けている状態から言うがなかなか腰を上げようとしないのは?-動作の開始が困難
・ 監視歩行時に休憩が多く、忙しい介護職に対する思いやりが無い?-疲れやすい

 2)機能の変動性・ Edit

季節(寒い時や高温多湿が悪い人が多い)日内変動(朝おきだちや夕方が悪い,心理的
緊張(人が見てるとできなくなる)与薬(利いている時は調子良く,切れるやいなや調子
悪い)・

 3)機能低下の経過の特殊性・ Edit

普通の老人:独歩→杖→歩行器・シルバーカー→車椅子→車椅子介助・
片麻痺  :歩行器・押し車の段階が無い・
パーキンソン:独歩 → 車椅子全介助
(途中の段階が抜けやすい)パーキンソン病であっても、独歩が少しずつ困難になる過程で歩行器が使える段階のあることがある。

パーキンソン病の障害と対策-その2-   Edit

姿勢や動作の障害-振戦,固縮,無動の組み合わせによる障害

 ①姿勢と平衡反応の障害 Edit

全体的な筋緊張のこう進と特に屈筋が強く緊張する(固縮)というアンバランスによる前かがみの姿勢。

安定した立位姿勢を保つことや,背臥位・起き上がり,
立ち上がりまたはその逆などの姿勢の変換が困難。

②歩行障害 Edit

すくみ足」歩き始めに足が地面にはりついたようになる。
小刻み歩行」体幹は前かがみで上肢の振りはなく歩幅は極端に小さい。
突進現象」足の運びがついていかず,
次第に前のめりに早足となる(前方や後方,側方)


「無動」ある動作から次の動作へ移るときに顕著にみられ,
家の中の移動のように,次々と向きを変え,
動作を変える必要のある場面では結局立ち往生してしまう。

③ 奇異運動 Edit

無動によるすくみ足の時,足元に白線を描いたり,障害物を置いたり,
「イチ,ニ,イチ,ニ・・・」などと視覚的,聴覚的刺激を与えると,
それまでできなかった動作が速やかにできるようになる。

④構音障害 Edit

筋固縮により,呼吸筋や喉頭,舌,口唇などの働きが低下

⑤えん下障害 Edit

咀嚼やえん下にかかわる諸器官が筋固縮により機能低下をきたすため,食べ物をうまく飲み込むことができなくなる。食べる量も減り,栄養状態の低下を招いたり,また流涎も多くなる。

⑥書字障害 Edit

小字症(書く字が段々と小さくなる)

⑦視覚障害 Edit

毛様体筋の固縮のため,遠近調節障害や眼球運動がスムーズにできなくなるので,文字を追って読むことに苦労する。・・

⑧顔貌 Edit

顔面筋の固縮のため,仮面様顔貌と呼ばれる固い表情をみせる。まばたきも少なくなる。

⑦自律神経障害 Edit

交感神経の機能低下、副交感神経の働きが優位となり
自律神経のバランスがくずれる

唾液量増加,心拍数低下,体温調節異常・
瞳孔が開きにくい・・3暗い場所では見えにくい       ・
起立性低血圧,四肢循環障害,便秘,排尿障害                               ・

⑧精神症状                                    Edit

性格 Edit

病前性格-内向的,几帳面,完全主義的・生活空間,人間関係の狭・
・小化・寝たきり・痴呆への危険性を増す・・

抑うつ状態 Edit

進行する症状に対する不安,仕事の継続や将来に対・
・する不安などに起因。・・

知的機能 Edit

パーキンソンにより直接知的機能の低下を来すことはない・
しかし,コミュニケーション障害や生活空間の狭さにより,
孤立化が進み, 精神活動の低下から痴呆症状が現れることは少なくない。・・

Lドーパの副作用・3としての幻覚,せん妄などの精神症状・

パーキンソンの障害の本質 Edit

コミュニケーション障害 Edit

(話す-構音,無表情,肺活量低下/見る-読む,老化による低下/書く-小字症/聞く-老化により低下)
歩行不可と車椅子駆動不可は一緒にやって来る。

人間関係喪失の危機 Edit

(誤解されやすい障害であることが拍車をかける)
生活空間狭小化の危機・介護の準備ができていないと孤立,ぼけ症状・・

パーキンソン病の障害と対策-その3- Edit

ケアとリハビリテーション Edit

 

姿勢や基本行為の改善のために Edit

前かがみの姿勢は,筋肉が固くなるために起こる。
パーキンソン体操の中にうつ伏せやブリッジなどを取り入れる。

また,靴の踵を少し高くして,重心を前方に移動させ
その反作用として全身を伸展させる。
前かがみの姿勢の矯正は呼吸機能の改善につながる。

“日常生活動作・((行為) Edit

寝返り,起き上がり,立ち上がりなど,ひねりを伴う動作や,
重心の移動を利用する動作が特に困難となる。

パーキンソン体操の中で,寝返り,起き上がり,四這い,立ち上がりなどを
繰り返し練習する。

さらに,寝返りを容易にするために,ベッドの寝返る方向に握りひもを付ける。

移動用バー等を利用したり,またベッドを低くして,寝返りしたあと下半身をベッド外に両膝をつくように降りて移動用バーで立ち上がる。
あるいはギャッジベッドを少し起こしておいて、起き上がりやすくする工夫を取り入れる。

また,側臥位のあと両膝をベッド外に出してギャッジを一杯に起こして,端座位をとるケースもある。

車椅子駆動では肘を伸ばすのが困難であり,肘の曲げ伸ばし動作が段々と小さくなり,左右差もあるため時間をかけても実用性が無いことも多い。

車椅子を駆動するという非常に困難な事を強いてはいけない。
移動は目的のための手段である。

自力移動を強いて本人の精神的ストレスを高め人間関係を悪くするのと,移動は介助して良い人間関係を保つのとどちらが良いか?
ケースに応じて検討する必要がある。

てすりの取りつけや便座の高さの調整,浴室内の洗い台の設置,ボタンをベルクロに付け替えるなどの工夫。

椅子から立ちにくい場合,座面の手前を低くして傾斜をつけると立ちやすい。
掴みにくい丸型のドアのノブをレバー式のものに替える。

かけぶとんが重い- 軽いものに替えるか足元に段ボール箱を置き布団を持ち上げる

着替えの時間は, 一日の最初に服用した薬の効果が現れてから(1~2 時間) でも遅くはない。           ・

歩行練習:自分で号令をかけ,踵をしっかり接地して歩く習慣をつける。
方向転換は弧を描くように大きく回り,すくみ足の時は体を左右に揺らせ,膝を高く上げて,それから踵を先に足をつくようにするなど,スムーズに歩くコツを指導する。

すくみ足の時には、まず立ち止まらせて踵をしっかり床につけさせ,
介助者の足を老人の足の前に置き跨がせると,スムースに歩き始めることがある。

作業やレク:大きな動きを伴う種目が良い。ゲームであれば自分ペースでできて, しかも他の人達との接触を保つようなものを利用する。・

















・00C

  ・12.ケアの留意点・3・
 ・寝返り,起き上がり,椅子からの立ち上がり,歩行,車椅子駆動等が不能となって・

くる。・1生活空間の拡大・3を意識的にはからないと, すぐに寝たきりと呆・
けにおちいる。・
・「やる気がない」「依存心が強い」などという, 誤解を受けやすい障害であること・

 を, 周囲の者が良く理解する。その誤解や障害の進行が意欲を失わせていることを理・
 解する。そのことによりパーキンソンに対するマイナスの固定観念を改め, 人間関係・

の回復をはかることや孤立化を防ぐことが可能となる。・
・非常にゆっくりであればできることもある。周囲の人が時間がかかることを受け入・
れさえすれば自立出来ることもある。・
・振戦,固縮によるエネルギー消費は大きく, 疲労しやすい。頻回に休息をとること・
・睡眠不足は症状の増悪をもたらす。・精神的緊張により症状の増悪が見られる。・
・同じ姿勢, とくに細かい作業などを長く続けると症状の増悪を来すことがあり, 大・
きな動きのあるもののほうが良い。・
・梅雨や冬の時期には症状が悪化する事が多く, 寝たきり状態に陥ることもある。梅・
雨や冬が過ぎたらすぐ元の生活リズムに戻す手立てを考える必要がある。・